食は生の原点
人間の3大欲望は、食欲、性欲、睡眠欲といわれ、また文化の二大要素は、食と言語といわれます。すなわち人間が人間として存在する所以は「食」であり、絶対的なものなのです。高齢化社会にあって、食べられなくなった時は人生の終焉であるといっても過言ではありません。
一方、食品を摂取する際の直接の品質要素は栄養性(機能性)、安全性、そしておいしさです。前二者はそれなりに数字的に基準が設けられますが、おいしさは感性の世界なので、簡単には数値化できません。おいしさを感知するメカニズムの解明は医学(歯学)と食品学の境界領域と考えられますが、ここ半世紀の間に徐々に研究が進み、それと同時に評価機器の開発が進みました。
食品関連業界でも消費者に見える形でのおいしさの表示が必要になってきました。そこで、山野は、数十年前から、おいしさに関連する研究のまとめとして「おいしさの科学」(山口静子氏と共編、朝倉書店、1994)、及び「おいしさの科学事典」(朝倉書店、2003)を編集出版させていただきました。民間企業から香川大学に奉職し、食品のコロイドとしての把握、そして物理的な刺激にもとづくテクスチャーの研究に携わってきました。これらの経験に基づき、22年前に、多くの企業、機関や個人のご協力を得て、並木滿夫名古屋大学名誉教授(故人)を初代理事長として、おいしさの科学研究所を設立しました。爾来、多くの企業や機関からおいしさの評価を依頼されてきました。特に機器分析で限度がある場合には、食のプロフェッショナルをパネルとした分析型官能検査を実施しており、大変好評を得ております。
更に、おいしさや嗜好性に関するプロジェクトや研究の主催(たとえば農水省の「知」の集積と活用の場プラットフォームなど)も行ってきました。設置当時の政府の構造改革の影響で、政府による公益法人の認可が中止されていた結果、当初香川県に立地していましたが、現在は内閣府認可機関として東京に立地して事業を行っています。
これまでに積み重ねた豊富な経験と実績を鑑みて、多くの分野や機関で利用していただければ誠に幸いです。